第6話 夫婦になるには

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第6話 夫婦になるには

五貴さんが、『週末には帰ってくるから。』と言って、出て行ったきり、三日が経った。 二人の新居には、私しかいない。 いや、もっと厳密に言うと、林さんと私しかいない。 しかも林さんは、私が一人しかいないと言うのに、姿を現さない。 こんな広い部屋に、一人っきり感を、これでもかというくらいに、味合わせてくれる人なのだ。 「おはようございます、林さん。」 「おはようございます、奥様。」 さっきまで、気配すら消していたのに、挨拶した途端に出てくるなんて、使用人とかじゃなくて、本当は忍者なのではないかと思ってしまう。 「そうだ。林さんに、どうしてもお聞きしたい事が、あるんですが。」 「何でしょう、奥様。」 私がコーヒーカップを、そっと横にずらしただけで、お代わりを注いでくれるなんて、林さんは相当優秀だ。 「五貴さんは、どこにいるんですか?」 コーヒーを注ぐ音だけが、周りに響く。
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