《序 章》欲望
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《序 章》欲望

 神が作り給うた楽園には、アダムとイヴが住んでいたと言われている。だけどイヴがアダムの二番目の妻だということを知っているものはそう多くない。 アダムの最初の妻・リリスは、夫に対等な関係を求めたと言われている。そしてそれはセックスにおいてもそうだったらしい。 『私は下に横たわりたくない』  リリスがそう言うが、アダムは許さなかった。同じ土から生まれたというのに、何故に対等ではないのか。リリスはそれがどうしても納得できず、とにかく従属を強いるアダムの元を去ったのだ。  リリスが楽園から去った後独りぼっちになってしまったアダムを憐れんだ神は、彼のろっ骨からイヴを生み出した。イヴは対等を求め続けたリリスとは異なり、とにかく従順だと言われている。それからというもの二人は仲睦まじく暮らしていた。たった一つだけの神の言いつけを守りながら。  神からの言いつけは、楽園の中央に植えられている二本の木になる木の実を食べてはならないということだった。その二本の木こそが生命の樹と知恵の樹だ。  生命の樹の実を食べると、神に等しき永遠の命を得る。  知恵の樹の実を食べると、神と等しき善悪の知識を得る。