57人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
バタンと戸が閉まり、五貴さんは仕事に行ってしまった。
大体、同じ会社の同じフロアで働いているのに、どうして一緒に出勤しないんだろうって、思ってしまう。
「私だけ私だけって言っておきながら、そこが足りないんだよね。」
月曜日の朝からため息をついて、私はスーツに身を包み、会社へ出勤した。
エレベーターで最上階へ行くと、そこに見慣れる人影が。
「あの……お客様ですか?」
振り返った人に、私は見覚えがあった。
でも、どこで会ったのか、分からない。
こういう時、内本さんだったら、スパッと顔と名前が出てくるんだろうなぁ。
「ああ、気にしないで。俺、ここの社長の友人だから。」
友人?
五貴さんの?
私は、その一言でこの人を思い出した。
「あっ、パーティーにいた人。」
失礼ながらも、指をさしてしまった私に、その人は笑顔で答えてくれた。
「そう言う君は、パーティーで五貴の隣にいたような。」
最初のコメントを投稿しよう!