第3章 誰かの一番になるということ

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ユリとハヤトの関係はギクシャクしたまま、2年生に進級した。 クラスも変わり、ユリは新しい友人達ができた。すっかり気持ちを切り替えていた。 グループはできたが、全員と仲良しだった。 お腹が痛いといえば、男女問わず皆がユリちゃん大丈夫?と心配してくれた。 そのなかに 桜井 リョウがいた。 長身細身、ちょと不良っぽいけど、優しい男子だった。 リョウはクラスの女子とはだいたい仲良しだった。 妹がいて、女の子の扱いは慣れていた。 教室の端と端の席で 授業中に、あっち向いてほいをやって遊んでいたり、… ユリは、いつでも笑顔でいてくれるリョウと過ごすのが凄く楽しかった。 リョウを含む友人達との会話が何より楽しかった。 2年生は修学旅行がある。 何か事件でもありそうだが、アバンチュールはなく真面目に過ごした。 女子部屋では、 Hな話で盛り上がっていた。 経験があるとかないとか。 やりたいか?とか。 経験ありの子もいただろうが、暈して話していた。 ・・・ ハヤトは2年生になると、 遅刻して登校。→ すぐお弁当。→ 部活。 毎日これを繰り返していた。 エミへの想いは変わらなかったようだ。 病的に好きになっていた。 何度も告白。その度にフラれていた。 勿論、ユリはこの事は知らない。 ハヤトの行動を1年生からずっと見ていた女子がいた。 アヤだった。 アヤはハヤトと1年に引き続き2年も同じクラスだった。 フラれてもフラれてもエミを追い続けるハヤトのことを芯が強いと惹かれていた。 2年生の冬、 アヤはハヤトに告白した。 ハヤトは変わろうとしていた…変わりたかった アヤと付き合うことを選んだ。 ユリには何も伝えずに… そして、 もうすぐ春休みという頃、 ユリは、同じクラスのチエに呼び出された。仲良くしていた女子の一人だ。 「ユリちゃん、桜井君のこと好きだよね。私、桜井君と付き合うことになったの。桜井君、ユリちゃんの気持ちも分かってるからちゃんと言っておこうって、二人で決めたの。」 「そそそうなんだ…よ良かったね、桜井君のことは確かに好きだけど、そういう対象じゃないから…」とユリは嘘をついた。 … ユリはまた、 一番には、 なれなかった。
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