第6章 約束

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ユリは、SNSがきっかけで高校時代の友人と再会していることも伝えた。 同窓会や飲み会では、エミやアヤも来ていた。 エミは、イイナヅケとはとっくに別れ、舞台女優になり、最近結婚して引退。40歳で赤ちゃんを出産した。 アヤは結婚し関西に移住。二人の子供がいる。 月に一度、東京出張でたまに飲み会に参加。結婚記念日はユリと同じ日でSNS上で知り盛り上がったり。 …人の話をしていると、 「エミもアヤももう会わなくていい。みんな幸せなら良かったよ。とにかくユリだけ気になってたんだ。 高校時代の付き合いは短かったけど、これからは長いよ!」 ハヤトの目はキラキラしていた。 お酒が進み、呼び捨てになっている。 この時、ユリは本意が理解できずにいた。 同級生だし、他の友人と同じようにたまに飲みに行くのかな… そう思っていると、 ハヤトは突然変なことを言い出した。 「俺さ、うどん好きなんだよね… どちらかが死ぬまでに一緒にうどん食べに行こう!香川に」 「香川に? いいけど…泊まらないと… 無理じゃない…?」 「泊まりだよ」 キリッとした目でユリをみた。 「え?」ユリは顔を赤らめる。 「どちらかが死ぬまでにね。だから焦らなくていいよ。子育てもあるでしょ。」 ハヤトの夫婦には子供はいない。 「えっと…泊まりってことはさ …あの… だって夫婦ラブラブだって言ってたよね?」 「ラブラブだよ!」 ハヤトは即答した。そして続けた。 「あ、言っとくけど、結婚して!とお願いされてもそれは無理だよ。」 「じゃーなんで?ラブラブなのに、私と…?」 「お互い好きなことやっているから、家庭も上手くいくっていうWinWinな関係なんだよ。」 ユリはその理論が理解出来なかったが、そんなもんかと思った。 ユリは夫とはケンカばかりで、あまり上手くいってるとはいえなかった。 徐々に、ハヤトの本心を理解する。 結婚後、どこかに眠っていた「女」の部分が前面に出てきたのだった。
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