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ずっと、ヒーローと怪獣の戦闘は、他人事のように思っていた。目の前で町が破壊されても、ニュースで犠牲者の名前が映し出されても、自分とは関係ないように感じていた。だが違った。現実だった。昨日話した友人が、いつ被害者になってもおかしくはない、無情な現実だった。
自分の生み出した怪獣が、スバルたちを潰していたかもしれない。自分が描かなければ、新人警備員は今も笑って紅茶を飲んでいたかもしれない。
(……すべて僕のせいだ……僕が皆を壊した……!)
佐久間は、自分を担架に乗せようとする入江の腕を退け、乾いた唇を噛んだ。
真実を話そう。亡くなった彼のためにも、すべてを話そう。
「皆……ごめん。僕の、せいなんだ。あの怪獣は……あれは、僕が生み出した怪獣なんだ……!」
事務室が静まり返る。誰も何も言わない。沈黙を破ったのは、隊員の入江だった。
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