4_朝食はふたりで【悪魔翼獣スロウバット】

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 いや、ヒーローと怪獣の戦いに関しては昔から他人事だ。今に始まったことではない。  佐久間は再びバイクにまたがると、戦闘に巻き込まれないよう気をつけながら、家路を目指した。  (昼前だし……何か買っていくか。)  佐久間はバイクの通話ボタンを押す。数コール後、モコの携帯へつながった。  「もしもし、クロム君どうしたの?」  「早めに終わったから何か買っていくよ。牛丼食べれるか?」  モコと会話しながら、白い雲が浮かぶ青空を眺めた。今、この景色の反対側では、怪獣と天機、そしてジェイドの隊員たちが、命を賭して戦っている。  (ああそうだ、怪獣に名付けてやらないとなあ……)  本当は他人事ではないこともわかっている。だが、誰もが他人の命まで思いやれるわけじゃない。自分は今、モコとどう生活するか考えるだけで精一杯なのだ。  (陸海獣ヒューマンイーター、ってところか。)  佐久間は、牛丼屋に向かって、バイクを走らせた。
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