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「もしカーミラを見つけたとして、どうやって知らせればいいですか」
「LINEでメッセージを」
ダリオは胸のポケットからスマフォ2台を取り出した。
「変な顔をするなよ。これでもちゃんと表の顔は持っている。今は鈴木と名乗っている」
そのスマフォはおそらく、かつて鈴木と言う人が使っていたのだろう。
「こいつは複数の名義でスマフォを契約していた。一つお前に貸してやる。間違っても自分のスマフォを使うなよ。足が着くぜ」
やはりこいつは化け物だ。
僕はその化け物の言いなりになって、そして同じ化け物になってしまうのだろうか。
「他に質問はあるか?」
「今は別に、あればLINEで聞いても……いいですか」
「かまわんが、俺はまどろっこしいのが嫌いだ。質問は簡潔に、一問一答だ」
「わかりました。じゃあ、僕はここからずっとビルの上を監視していればいいんですね」
「確率的には北側が高い。そしてカーミラはおそらく金色の髪は帽子やコートで隠し、肌の露出はほとんどしていないだろう。だが背格好や振る舞いで、日本人と違うとわかる。そういう女だ」
ダリオは、まるで自分の女を自慢するかのように僕にそう言った。
ダリオとカーミラの間に何があったのかはわからないが、少なくとも4年以上会ってはいないということになる。その前に東京に積るほどの雪が降ったのは、僕が小学校1年か2年の時だから10年以上前。
雪とヴァンパイア
そこにどんな因果があるというのだろうか
雪と言えば雪女
ヴァンパイアと言えば血と十字架と日光と……あとは知らない。
「では、俺はここから北に向かい、そこでカーミラを探すとする。こちらで見つけた場合も連絡はする」
ダリオはスマフォを指で操作する。
LINEに通知が来る
”よろしく”と書かれた人気キャラクターのスタンプが送られてきた。
僕は”かしこまりました”と同じようにスタンプを返した。
鈴木と言う人は、無料のスタンプしか使わないタイプだったらしい。
こうして僕はヴァンパイアの依頼を受けることとなった。
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