第1章 平成vamp

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「もしカーミラを見つけたとして、どうやって知らせればいいですか」 「LINEでメッセージを」  ダリオは胸のポケットからスマフォ2台を取り出した。 「変な顔をするなよ。これでもちゃんと表の顔は持っている。今は鈴木と名乗っている」  そのスマフォはおそらく、かつて鈴木と言う人が使っていたのだろう。 「こいつは複数の名義でスマフォを契約していた。一つお前に貸してやる。間違っても自分のスマフォを使うなよ。足が着くぜ」  やはりこいつは化け物だ。  僕はその化け物の言いなりになって、そして同じ化け物になってしまうのだろうか。 「他に質問はあるか?」 「今は別に、あればLINEで聞いても……いいですか」 「かまわんが、俺はまどろっこしいのが嫌いだ。質問は簡潔に、一問一答だ」 「わかりました。じゃあ、僕はここからずっとビルの上を監視していればいいんですね」 「確率的には北側が高い。そしてカーミラはおそらく金色の髪は帽子やコートで隠し、肌の露出はほとんどしていないだろう。だが背格好や振る舞いで、日本人と違うとわかる。そういう女だ」  ダリオは、まるで自分の女を自慢するかのように僕にそう言った。  ダリオとカーミラの間に何があったのかはわからないが、少なくとも4年以上会ってはいないということになる。その前に東京に積るほどの雪が降ったのは、僕が小学校1年か2年の時だから10年以上前。  雪とヴァンパイア  そこにどんな因果があるというのだろうか  雪と言えば雪女  ヴァンパイアと言えば血と十字架と日光と……あとは知らない。 「では、俺はここから北に向かい、そこでカーミラを探すとする。こちらで見つけた場合も連絡はする」  ダリオはスマフォを指で操作する。  LINEに通知が来る  ”よろしく”と書かれた人気キャラクターのスタンプが送られてきた。  僕は”かしこまりました”と同じようにスタンプを返した。  鈴木と言う人は、無料のスタンプしか使わないタイプだったらしい。  こうして僕はヴァンパイアの依頼を受けることとなった。
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