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「あの森に行ってはダメだよ。」
「どうして?」
「あの森にはね、魔物が棲んでいるんだよ。」
「魔物?」
「ああ、恐ろしい魔物だ。特に森の奥の沼に近づいちゃ絶対ダメだ。」
「森の奥の沼?」
「そこにいるんだよ、魔物は。いつでも、人が来るのを待っている。特に子供をね。だから絶対行かないこと。」
僕がそっと目を閉じると父さんは僕の額に手をやり、それから部屋の明かりを消して出ていった。
僕はベッドに深く潜り込むと父さんの話をもう一度思い出していた。
「魔物なんて嘘だよ。いるわけない。父さんの作り話だ。」
僕は自分自身に言い聞かせた。
何故なら僕は週末、あの森に一人で行かなきゃ行けないからだ。
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