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すると視界に黒い影が入った。月から目を離し、影の方へ視線をやるとそれは影ではなく黒く揺らいでいるマント。そしてそれを羽織っているのが人だとわかるまでに多少時間がかかった。
「だれ…?」
2メートルほど先の人に恐る恐る問いかける。するとこちらへ顔を向けた。
「あなた、だれ?」
もう一度問いかける。黒い大きなつばの帽子で顔がよく見えないけど、長い髪が揺れる。
「・・・えっ?もしかして俺が見えるの!?」
その人が驚いたように言った。
「俺が見えたって人は、あなたが初めてだ」
私はわけがわからなかった。よく見ると・・・浮いてる~!!その人は空中に浮かんでいた。
いったい何者なの!!!???
「俺は魂を迎えに来る役目の者。つまり死神」
!!
「しに…がみ?」
伝説上で耳にしたことはあるけど、本当に遭遇するなんて・・・。
「あなたの父上の魂を迎えに来たんだ。この箱の中に魂が入ってる」
宝石箱のようなものを手にしている。その中に父の魂が・・・。
「あの、魂を戻すことはできないの?」
「それはできないんだ。それぞれの命の時間は生まれる前から設定されている。その命の期限が来たら空に戻ることになっている」
「・・・お父様にまだ花嫁姿も見てもらっていない。でももう無理なのね」
「それは空から見られるから大丈夫。見守っているよ」
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