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第3話 葬儀
ここソルペック国ただ一つの教会へは多くの弔問者が訪れている。親族、城に仕える者、国民や近隣の国の関係者。
父はソルペック国王だった。
私は荘厳に飾られた祭壇を眺めていた。無数の白のカーネーションが際立ち、清廉した雰囲気を放っている。
「シャルワ姫」
その声のする方へ振り向くとロディ王子が立っていた。
「天に召されたお父上の平安を心よりお祈り致します」
深く一礼をする。
「ロディ王子、いらしてくれて父も喜ぶわ」
「私も大変お世話になりました。お父上の王としての在り方を学ばさせて頂きました。私のことも快く受け入れて下さり感謝しています。勝手ながら息子のような気持ちを抱いていました。それだけに寂しくはありますが…姫を支え、守っていくことが私の役目だと誓っています」
私を見据える瞳に決心がみえた。
ロディ王子は近隣の国、リタベルト王国の次男。私のフィアンセでもある。
ソルペック国の国王であった父と母の間には、女児の子供しか誕生しなかった。それが私。後継者は私しかいない。いずれ女王となる立場。
「しかし、素晴らしい祭壇と弔問者の人々の多さに驚きました。それだけ父上は敬われ、慕われていたのですね」
私はお父様のようになれるだろうか…自信などまったくない。
するとロディ王子が私の肩を抱いた。優しい人。この人なら私を支えてくれると思う。
ーーだけど、昨日の夜の出会いが鮮烈に残っている。
どこか懐かしい雰囲気を漂わせる美麗な死神が頭から離れていなかった。
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