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「シャルワ様は美しくてお優しい。そのお人柄そのままでいいのですよ」
「ラバ、ありがとう」
なんて心の温まる嬉しい言葉だろう。
身支度を終え、戴冠式が執り行われる教会へ馬車を走らせる。
「シャルワ、ゆっくりする暇もないわね。私が手助けできることはなんでもするから、言ってちょうだいね」
「お母様、ありがとう」
式の時間が迫るごとに、緊張を感じてきていた。
しかし、同乗している叔父はまったく口を開けない。私に対しての皮肉も何一つ言わない。
でもわかる。私が即位し、やはり面白くないのだ。その不穏な空気の中、教会へ着くとロディ王子が出迎えてくれた。
「姫、ご即位おめでとうございます」
深い一礼をする。
「ありがとうございます」
王子との結婚は戴冠式を終えてから・・・と母に伝えてはあるけど、具体的な日程は決まってはいない。王子も父が亡くなってから続く慌ただしい城の様子に私を急かすこともなく、見守ってくれている。でも、落ち着いてきたらそちらの話も進めていかなくてはいけないだろう。
「式まで時間があるので私、父の墓へご挨拶に行ってきます」
「では、私も・・・」
「ロディ王子、王妃が話したがっていますよ」
叔父が遮るように話しかけた。王子は私に視線をやりながら母の方へ向かって行った。
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