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墓地へ着き、父に祈りを捧げた。そしてこれからの自分を見守っていてほしいと、力を貸してほしいと願った。
その後、クラークを見かけた樹木の側まで行った。木陰の隙間に見た黒いマント。あれは気のせいだったのか...。教会へ戻ろうと身を翻した時、黒い物体が瞳をかすった気がした。その先へ視線をやる。
ーークラーク!会えた!!
彼は樹木の枝の上に立っていた。
「こ、こんにちは」
驚きと喜びで言葉が詰まる。
「こんにちは。声かけられたってことは、やっぱり俺が見えるんだね」
目深に被る黒く大きな帽子のつばを少し上げた。
「言ったじゃない。今度、見かけたら声をかけるって」
嬉しい!本当に会えた!
「父上が埋葬された日も俺はここにいたよ。見届けるために。あなた以外の人が来たから、念のため、すぐに姿を消したけど」
「やっぱり、クラークだったのね」
確かにあの時、ロディ王子が心配して私の後をついて来た。幻ではなかったのだ。
「あなたが降りてきたってことは、今日もどなたか亡くなられるの?」
「・・・くわしくは言えない。でも、そうかもしれない」
顔が少し曇ったようにみえた。
「人が来たね。じゃあシャルワ」
「・・・え?クラーク!」
金色の髪と黒いマントをなびかせながら、徐々に青い空へ吸い込まれていった。
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