彼がわたしを癒そうとするので助けてください。

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「あの、ゆうひく」 「ねえ何やってんのー雄陽っちー」  彼女の言葉を遮った高い声はくすくすと笑いながら近づいてきた。  ぱっちりおめめにふわふわ揺れる茶色の髪。おまけにこの寒い冬空の下、超絶短いスカートに魅惑の生足だった。  着ぶくれするほど着込んでいる自分とのあまりの違いに、彼女は思わず小さくなった。  だが、そんな彼女に気付いてはいないのか、近づいてきた少女は雄陽の肩を掴んで「頭一個飛び出てるからすぐわかった」と笑っている。 「ちょうど良かった。渡したかったんだよね」  はにかんだ少女は茶色の紙袋を雄陽に差し出した。 「そそそそれは最高峰ショコラティエが作りし究極のショコラ……!」 「え……なにこの子」 「違う。あまりにわたしのチョコレートとは違い過ぎる。まさに月とスッポン天地の差がありし贈り物」 「は、はい?」  ぶつぶつと高速で呟く彼女の言葉を理解することはできなかったものの、おどろおどろしい雰囲気は伝わったらしくおしゃれ少女は一歩引いて雄陽を見上げた。  その手に、ひしゃげた赤い箱を見つけて綺麗に整えられた眉がきゅっと吊り上がる。 「……雄陽っち。それ、何」 「これ? こいつが作ってくれた手作りチョコ」 「なっ」 「なな、何をばか正直にゆうひくん……!(小声)」  振ってみせているが、箱はお菓子では鳴りえないからからと乾いた音を奏でるだけで。  先ほどの暴挙でその中身は目も当てられない惨状と化していることを表している。 .
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