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「あかり、電話よっ」
母にそう言って起こされた。
「もぉ~っ・・朝から誰よ・・」
「ミカドくんだって~♪ね、誰?ミカドくんて誰?」目を見開いてニタニタしてる母に、「軽音部の奴!!もぉ~!」
と眉間にシワを寄せて迷惑そうなフリをしながら
受話器を取った。
「もしもしーっ」低めの寝起き声で。
「あっ、あかり、え?もしかして寝てた?」
「当たり前でしょ。サンデーモーニングだよ?なんで家の電話に掛けてくんのー?」
「は?おまえ携帯に電話しても出ないんだもん。」
「あ、そっか、寝てるとき音切ってるからだわ」
「おいおい・・で、今日ヒマでしょ?」
「え、暇じゃないってことにするわ」
「ほんとはヒマ?!でしょ?」
「・・・ったくもぉー、なんなのよ、ヒマだったら何?!」
「LIVE付き合って。先輩のバンドの。チケット貰ったんだけど、あかりなら行くかなーと思って」
『付き合って』という言葉にドキドキしてしまう私。
別にそういう意味とは違うってわかってても、なんだか沁みる言葉だ・・と思いながら、もちろん快諾して電話を終えた。
三門拓実とは、高校の同級生。1年のときから同じクラスで、同じ軽音楽部、同じアーティストのファン、ということで、男子では一番仲が良い。
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