異変

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「ねーえ、そーらーた」 「何だよ」 「この前身体測定あったでしょー」  思わず口をつぐんで、むっとなった。不機嫌なオーラをすくい取ってくすくすと笑う声が漏れ聞こえる。 「あたしはねー、百六十七センチだったよ」  高い。僕よりもまだ五センチ高い。でも男子はこれからが成長期で、女子はもう落ち着いて来る。五センチなんてすぐに追い越すだろう。そう考えると少しわくわくした。 「どうかなー? あたしがヒールを履いても追い越せる?」  すぐに追い越すさ。そう言うと悪戯っぽく返してきた。彼女がヒールを履いたら百七十センチを優に超えてしまう。たまにその話をする。彼女はもう少し待ちたいんだって答える。何を待っているのかは内緒だそうだ。 「ねぇ。二月が終わったら、すぐに春だね」 「うん」 「あたしは文系、空太は理系」 「うん」 「……あたしたち、一緒でいられるかな」 「い、一緒って? 学校は一緒じゃないか」 「そういうことじゃなくってさ」  文理合同授業だってある。科目の個数を数えれば文理合同の方が多いくらいじゃないか。
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