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キモタクの斬り込んだ質問にも、慣れているのか、イチゴは顔色一つ変えることなく、いつも通り、明るく、元気いっぱいに答えた。
「恋人は、いませぇん! 応援してくれるみんながイチゴの恋人でぇす!」
舌足らずな、甘ったれた声。
場が湧いた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお! イチゴたそおおおおおおおお!」
「愛してるぜえええええええええええええええええええええええええええ!」
「俺の恋人は生涯でイチゴたそだけだああああああああああああああああ!」
(ふん、馬鹿どもが。なにも知らないで)
これまでであればキモタクも、馬鹿騒ぎする側だっただろう。
だが、今は違う。
今は…………
「じゃあ、マイクを……」
回収しようとするスタッフを手で遮って、
「本当ですか?」
キモタクは質問を重ねた。
場が一瞬で静まり、みながみな、キモタクを見た。
なにを言ってるんだコイツは、というような目で。
それでもキモタクの言葉はとまらない。
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