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しかしヒサオさんは、わたしが質問をし出す前に口を開く。
「だからヨネよ。死ぬにあたっての準備をするのだ。葬式や遺産などについて、今日中に希望をまとめておくのだ」
「まあ」
そこまで考えていなかった。さすがはヒサオさんだ。
そう言われると多くの要望が湧き出てきた。
「大変だわ。遺影はどうしようかしら。先週キョウコと横浜に行った時の写真があるけれど、五枚とも目を瞑ってしまったのよね。お葬式には、最近疎遠だけど富山のミエちゃんとタカコちゃんも呼びたいわ。お葬式のBGMは前から百恵ちゃんがいいと思っていたのだけどどうかしら」
「やはり『いい日旅立ち』だろうな。名曲だ。そういったことを、このエンディングノートに書いておくといい」
えんでぃんぐのーと。
ヒサオさんは一冊のノートを足元に置くと、暗闇の中に去っていった。
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