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キョウコはもごもごと、言いにくそうに答える。
「……この一週間、ずっと考えてた。でも……ハヤトとはちゃんと話そうと思ってる。私とハヤトはあまりにも性格が似過ぎていて、これまで意見が分かれることなんてなかったの。だから目玉焼きにかけるのは絶対ソースだって言われて、カチンときてしまった。そして醤油を押し付けてしまった……。でも夫婦って、元は他人だから。違ってても当たり前で、お互いに歩み寄らなきゃいけなかったのよね。離れてみて、やっぱり私はハヤトと一緒に居たいって思った。私は醤油で、ハヤトはソースでよかったのよ」
「そう……」
わたしは安心した。
二人なら、この壁を乗り越えられるだろう。
わたしの心配は無用だった。キョウコはちゃんと答えを出していた。
……そうよね。わたしの子供だもの。
わたしがいなくなっても、二人は支え合ってやっていけるわ。
キョウコは笑顔になっていた。
「なんだか照れ臭くて、こういうことお母さんに話せなかったのよ。……私、お母さんとお父さんみたいな夫婦になりたい。いつも尊重し合う夫婦に」
「ふふ。なれるわよ。きっともう、なってるわ」
わたしもキョウコに笑顔を返した。
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