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「タイチ……怒った?」
「怒ってない。明日もトレーニングだし、早く寝よ」
「裸で寝たら風邪引く。パンツちゃんと穿いて」
「親か」
「そりゃーおまえにミルクあげたしオムツも替えたし。恩返しとして健康でいてもらわないと」
「柊が年取ったら俺がオムツ替えるんだからおあいこだろ。まだあと40年以上掛かりそうだけど」
「……………」
ずっと一緒に生きるってそーゆーことだ。柊の骨は俺が拾うんだ。
「タイチ……」
「なに」
柊は俺の背中越しの窓を凝視してる。
「雪……降ってきた」
がばっと起き上がって窓辺へすっ飛んで行く。薄闇のベランダに、確かに雪が、花弁みたいにハラハラ舞い落ちている。雪。ブラインドを全開にして、鍵に手を掛ける。
「外はダメっ。裸だし風邪引く!」
あ、そうだった。とりあえず窓が息で曇るほど近づいて空を覗く。
────雪。
やっと。やっと、雪が降った。待ち焦がれていた季節が始まるんだ。
「いつ積もる?」
「山の上はあっという間に真っ白になる」
「キッカーにも?ハーフパイプにも?」
「うん」
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