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年も背も、もうあの頃の柊さんを追い越してしまったけど、俺が見つめられるのは背中だけ。ひっそりと背中だけ見つめて、応援して、ここで帰りを待ち侘びる。あの背中は永遠に俺の
「タイチー!久しぶりー!!」
背中からいきなりハグされ、びっくりしたと同時にTシャツの裾から冷たい手が滑り込んでくる。やめんか。
「あ───この腹筋触り心地サイコ──。また成長して……ちっちゃい頃はあ──んなに俺に纏わりついてたくせに……」
少なくとも今現在、纏わりついてんのはアンタのほうだ。こっちは荷物下ろしてんだ仕事してんだ。
「なんか反応しろよーつまんねーやつー」
直に腹筋触んな。若人の肌を弄ぶな。と素直に言えば満足か。
「ただいま、タイチ」
しおらしい声につい振り向くと、薄茶色の瞳と視線がぶつかる。
あ ───………めっちゃ綺麗。めっちゃ美人。
小さな顔に配置されたパーツの黄金比率。涼しげな目元に形のいい鼻。薄くも厚くもない、ちょうどいいサイズの唇。おまけにこの、ツルっツルの美肌。うっかりしてると釘づけになるから、目を逸らすのはいつも俺。
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