鳥のように飛べ

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  「あっっ無視かテメー俺様を無視かっ」 うるさい。俺は忙しい。 「ちょっと背が伸びたからって偉そーにしやがってよー」 柊さんの身長170cmはアスリートとして恵まれた体格とは言えないらしい。だけどそんなの感じない。何年も世界で活躍できるなんて純粋に尊敬してる。言わないけど。 「また伸びた?180いった?」 とっくにな。てか付いてくんな。くんなら荷物の1つも持て。手伝え。 「まだまだ伸びんのかなーヒロさんもさつきさんも背高いし……いーよなーアスリートのDNA」 何言ってんだ。ウドの大木って言葉を知らんのか。柊さんの方がよっぽど親父の子みたいだろ。親父よりずっとスゴいけど。 「太一くん!今年もお世話になります」 「いらっしゃいませ……お久しぶりです」 中谷陽子(なかたにようこ)さんは、柊さんが会社を作った当初からずっとマネジメントを担当してる女性。活動拠点をカナダに移してからも、いつも柊さんの隣にいる年齢不詳の美女だ。 「あっちのバス、機材の専門スタッフがいるから荷下ろしは任せてね。オーナーは?」 「食堂で仕込みしてます」 「じゃあご挨拶してこなきゃ♪ 柊!太一くんの邪魔しないのよっ!」 あの人、現役時代の親父の大ファンだったって公言してるけど、て事は親父とそう年が離れてないって事だろうか。聞きたいけど聞けない。俺は平和を壊さない。
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