たとえ死んでも離さない

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  「可愛いセーター。襟ぐりゆったりしてて着やすそう」 「親父のお下がり。着やすいから持ってきた」 「似合ってるけど脱がせていい?」 「寒い」 「責任持ってあっためてやる。ベッド行こう。おいで」 ハーフパイプとキッカーでの練習が始まってから、柊は一緒にお風呂に入ってくれなくなった。 『歯止めが効かないから』と言ってたけど、もともと風呂場でやるエクササイズかなんかがあったみたいだ。たまに鼻歌とかも聞こえてくるけど、やっぱり根が真面目なんだなーと思う。俺みたいに溺れてばかりじゃないのが大人だ。 だけど溺れて何が悪い。居直るなと叱られようと、こんなにも好きな人を抱く時くらい存分に溺れさせて欲しい。 「大丈夫……?」 「ゴム使うようになったら初回から俺の体で遊ぶようになりやがって」 「遊んでないし」 「前は[ピ──]とか[ピ───]とかしなかった!生意気っ」 「気持ち良さそうだったのに……難しい……」 俺、柊に対してどうやって何をすれば手放しで喜んで貰えるのかやっぱりイマイチわからない。0.02ミリの薄い膜越しにしか柊を感じられなくても、柊がそうしろと言うならちゃんと従う。いい子にしてるつもりなんだけど、夜ごと何かしらの不満をぶつけられる。 別にいいけど。
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