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霞む視界に、俺に振り下ろされる五本の剣が見えた。
「待て」
女帝の声が響く。
衣擦れの音が近付き、女帝が俺を覗き込む。
「あのドルガ村の生き残りか?憎しみだけで、前人未到の第五望を突破したか?」
「グッ……」
「面白い」
女帝が真横に差し出した手に、護衛が剣を渡す。
女帝はその剣を無造作に俺の肩へ突き刺す。
「リガル兵が妊婦の腹から引きずり出した赤子は、お前の弟か妹だったかもしれんな」
「ガァアアア!」
俺は女帝に?みかかろうとするも、体は痙攣するかの様に床の上で跳ねるだけであった。
「殺して……やる……殺してッ……やる!」
「ならば、この第六望の裾を渡り切るしかないな。もっと私を憎めば可能か?私の真の望みは叶うか?」
女帝は肩に刺したままの剣を弄び、俺の叫びが地下に響き渡る。
そして、女帝は唐突に剣を離し、踵を返しながらベリングに言う。
「生かせ。第五望を渡り切った貴重な禍触師だ。ネイリーンを探し、ここへ寄越す様に」
「ネイリーンですか?でも、彼女は……」
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