第2話

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「憂鬱そうですね」 リガル帝国の女帝ミランダは、瀟洒な窓から視線を移し、ベリングの髭面へ向ける。 「憂鬱ではない」 確かに、振り向いた女帝の瞳は、憂鬱などというお淑やかなものではなかった。 「今日はサクノスの王太子が到着する」 サクノス王国は大陸の東に位置する大国であり、リガルの宗主国でもある。 「唯一の救いは、ここが我が城ではないという事だ。奴が敷居を跨ぐと思うと虫唾が走る」 現在、ミランダは、同盟国であるキャミル王国の城に滞在中であり、同じ様にサクノスの傘下にある各国の代表が集められていた。 ベリングがウンザリとした様子で言う。 「今回は何の用件ですかね?」 「また、無理難題を吹っ掛けて、各国から欲しい物を手に入れるつもりだろう。まあ、大体は訪れた国からごっそり持っていくがな」 「この国なら何でもホイホイ渡しそうですね。あの太っちょの事なかれ王では」 ミランダの不機嫌そうな瞳はそのままであったが、その下で、ルージュの引かれた唇がわずかに上がる。 「それは分からない。この城には食わせ者がいるからな」     
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