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俺は後者に対するつもりで答える。
女帝がおもむろに紙片を差し出す。
「昼間、この様な手紙が来たから、どの様なものかと思って来てみたが、大して面白いものでもなかった」
匿名の手紙には、今夜、庭園の片隅に来る様にと書かれていた。
もし、今夜の件が女帝を通して王の耳にはいれば、王妃も俺もただでは済まない。
俺は手紙を丸め、懐に入れる。
「ミランダ様。この件、何卒、御内密に」
女帝が眉根を寄せる。
「私は不貞を好まない」
「では、この城の、とっておきの秘密を教えます」
「己の保身のために国を売るか?」
「聖剣スカルバゾスは、この城の地下に眠っています」
女帝の表情が変わり、周囲の騎士達も騒つく。
「何と?」
スカルバゾスは地に突き刺さっており、過去、幾人もの英雄が引き抜こうと試たが、成せず、次第に試みる者も無くなり、その存在も場所も伝説となりつつある聖剣である。
リガルは剣術に長けた国だ。
恐らく、ここにいる五人の衛兵だけで我が国の一個小隊に匹敵するだろう。
よって、剣に関する関心は非常に高い。
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