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窓から差し込む光と車の音で、僕は目を覚ました。いつの間にか気を失っていたのかもしれない。
僕は重だるい体を起こすと、隣で稔さんが上半身裸で寝ていた。
昨日の生々しい記憶が蘇り、思わず視線を逸らす。
いつ気を失ったのか分からず、ただ、僕の体に残された赤い痕が行為の激しさを物語っていた。
僕はそっとベッドから降りようとすると、突然腕を捕まれ布団に引きづりこまれる。
「おはよう」
稔さんが柔らかい表情で、僕を抱きすくめる。
「お、おはようございます」
僕はどうしたら良いのか分からず、されるがままになる。
「ここ、大丈夫?」
稔さんの手が僕の腰を撫でる。危うく反応しそうになり、慌てて稔さんの腕を掴む。
「あんまりセクハラするなら、そこの警察に突き出しますからね」
僕が口を尖らせて言うと「ここに警察官がいるじゃん」と稔さんが微笑んだ。
朝の和やかな雰囲気に、僕は内心ホッとした。
稔さんが酔っ払って、覚えてないなんて言われたら……僕は立ち直れなかっただろう。
それにしても、まさか自分が男の人と付き合うことになるとは、思ってもみなかった。
「なに考えてるの?」
稔さんが僕の下腹部を撫でながら囁いてくる。
「や、やめてくださいって」
「なんでよ。もう、恋人同士なんだから何しても許されるでしょ」
稔さんが怪しげなセリフを吐きながら、弄る手を止めようとしない。
僕は慌てて、稔さんの腕を掴む。
「稔さんって……以外にエロいんですね」
「玲くんにだけだよ」
稔さんが僕の首筋に顔を埋め、唇を寄せる。
恥ずかしい事を言われたのが原因なのか。はたまた、セクハラが原因なのか。僕まで、変な気を起こしそうになる。
「玲くん。好きだよ」
優しく囁き、稔さんが口づけをしてくる。狡いよなと思いつつ、僕も応えるように稔さんの首に手を回す。
ああ、なんて幸せな朝なんだと僕は内心浮かれていた。
今まで、こんなにも愛おしいと思ったことがない。
稔さんの唇が次第に下に降りてくる。僕は、快感を貪るように目を閉じた。
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