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「順番なんて関係ないですよ。僕は稔さんが好きなんで」
自然と好きだという言葉が溢れ落ちた。稔さんがハッとした顔で僕を見つめる。
僕も思わずハッとして、恥ずかしくなり俯く。
「玲くん……」
名前を呼ばれ、恐る恐る見上げる。稔さんは優しくも、切ない目で僕を見つめていた。
「僕も好きだよ」
僕は思わず涙がこぼれ落ちる。
ああ、やっぱり僕は稔さんが好きだ。将希は確かに僕のことを、正当な手段で守ってくれていた。
稔さんも歪んでいたけれど、同じように見守っていてくれた事には違いない。
僕は自ら、稔さんの首に腕を回し引き寄せる。唇を合わせると、稔さんも僕の体に腕を回す。
自ら稔さんの唇を割って、舌を滑り込ませる。
うまく出来る自信はなかったけど、僕は夢中で稔さんの舌を捕まえるようと深く潜り込ませる。
「ふっ、んっ……っ」
甘い吐息が、唇の端から溢れてしまう。
稔さんのほうが積極的に攻め立てるように、僕の舌を甘く吸い付いてくる。自ら攻めていった筈が、すっかり陥落してしまう。
ぼんやりする意識の中で、二人の口づけの音が部屋に響き渡っていて妙に恥ずかしい。
唇を離すと、僕は力の入らない体で、ゆっくりと稔さんを押し倒す。
上に跨る形になり、稔さんが驚きの表情で僕を見上げている。その表情がなんだか間抜けで、僕は少し笑ってしまった。
「なんで、笑ってるの?」
「……稔さんが凄くびっくりしてるから」
「君も人のこと言えないぐらいエロいね」
稔さんが意地悪そうに口角をあげる。僕は恥ずかしくなって視線を逸らす。
「そういうこと言うなら止めます」
僕はムッとして降りようとすると、慌てた様子で稔さんが、「ごめんごめん」と腕を掴む。
「……続けて」
稔さんが艶っぽい目で僕を見つめる。扇情的な瞳に絡め取られ、僕は素直に上に跨る。
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