プロローグ あの頃

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プロローグ あの頃

鉛のような空から落ちてくる雫はどれも大粒で丸いゴム張りオモリを連想させた。 昔、近所のじいさんとの釣りで使ったのを思い出した。当たりを待つあの時間が僕は好きだった。 のどかな自然の中に緊張の結界を張るようなあの時間。 何もかもを遮断する、周りの声も、風も、嫌な記憶も。 究極の集中。 結界が全てを弾き返してくれていた。別段、嫌な記憶とかは無かったが、あの頃は。
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