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第二話 進化とジャエロダイエン
僕は霜の所へ向かおうと大通りに出た。
リバルはほとんど片付いていて、聞こえてくるのは戦闘員の荒い息づかいだけだった。
霜と別れた所に行くとちょうど霜が通りから姿を出した。
「そっちは片付いたか?」
霜が肩を押さえながら聞いてきた。
「終わったよ、そっちは?二機行ったみたいだったけど」
病人を労るような顔をして言ってみた。
「危うくかかとを貫かれるところだった」
苦い薬を飲んだみたいな顔をする。
「霜は弾丸当たんないでしょ。目良いもん」
まぁ、良薬は口に苦しと言うし。
「見えても弾丸の速度は変わんねぇんだよ。余裕が生まれるだけだ」
苦い薬を飲ませた医者を睨むみたいな顔をする。
「見えると見えないでは全然違うよ」
病気が治るならいいじゃないか。
「誠こそ、武器も持たずに相変わらずチートだな」
今度は僕に飲ませようとする。
「やめてよ。これも考え物だよ、着地の一つもできない」
困った顔をしてみせた。
「サスペンション的なやつ無いのか?」
何困ってんだよと言わんばかりだ。
「人間はそんな素晴らしくできてないんだ」
僕は誇らしげに胸を張った。そこには今日も生きて帰れるという安堵や歓喜ももれなく含まれた。
僕らがヴァリアル基地に戻った時にはもう日が暮れかかっていた。
エントランスには羽多隊長が迎えに来ていて、
「お疲れ。報告は後で聞くから、まずは休憩をとれ」
僕もそうしたかった。つい先ほどからかかとがひどく痛む。どうやら効果が切れたみたいだ。
「はい、そうします。ありがとうございます」
僕らは医務室に足を運んだ。
医務室に入るなり、誰かがが声をかけてきた。
「お疲れさま。誠、霜君。どこか痛む所は無い?」
美里だ。
美里は戦闘員ではなく、戦闘員の治療を担当していた。
「うぃっす、美里ちゃん。俺、肩を痛めちまってさ」
「あら、大丈夫?今治療するね。どの辺が痛むの?」
「えっと、ちょいこの辺が…」
二人の会話をうっすらと聞きながら、僕は美里を見た。
あの頃と変わらない美しい横顔だった。黒色の髪の毛はあの頃よりも少し伸びて小さなポニーテールを作っていた。ファラベラテールだ。
「ねぇってば、誠。聞いてるの?」
気が付くと美里の瞳が僕を飲み込まんとしていた。
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