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・・・今日は特別な日だ。
手は真っ赤に染まり、包丁を握った手はぶらりと垂れ下がった。
どうしてこうなったんだろう・・・
◆ ◆ ◆
街はイルミネーションでカラフルに彩られ賑わっている。
とくに赤や緑の配色が多い。
街を行くカップルたちは自然に手を取り、浮き立っているようだ。
そんな中私は、一心不乱にメンズブランドのお店のショーウインドウに張り付いていた。
買い忘れてしまったのだ、プレゼントを。
それを今日まで気づかないだなんて・・・
今日は12月25日、大昔にイエスキリストが誕生した日だ。
正確には違うらしいが、まあみんなそんなことを気にしている素振りはない。
日本ではカップル、家族など近しい間柄の人たちがプレゼントをわたしあい、チキンを食べ、一緒に過ごすためのイベントだ。
例に漏れず、私も今日は彼と一緒に過ごす予定なのだが、
ただ一つ例外としては、プレゼントを買い忘れたことだろう。
だが今日は一日休みをとって、1日がかりで夜の支度をするつもりだったので時間はまだある。
なんとか夜までに間に合わせなければ。
靴がいいだろうか?それとも服?マフラーやアクセサリは?
優柔不断な私にとって1日は長い時間とは言えない。
頭の中で必死に彼との会話をたぐりよせる。
・・・あっ、そう言えば通勤用のバックが痛んできたってボヤいてたっけ。
入社した時からずっと同じの使ってるからそれがいいかも。
よし、ビジネスバッグだ!
私はプレゼントにビジネスバッグをあげることに決め、手当たり次第に探し始めた。
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