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「...ごめん、私好きな人いるから」
「え、誰?」
「秋本椎名くんだよ。...絶対誰にも言わないでね」
中学一年の終わり頃。俺の初恋は終わった。
照れたような顔でそう言って、ぱたぱたと行ってしまった女の子を見送り、
呆然とする。
思わず口走った質問と、それに案外簡単に答えられた驚きで、そいつの名前は妙に
頭に残った。
二年生になって、クラス替えがあった。
どんな奴と一緒のクラスになるだろう。まぁ、自分で言うのはなんだけれど
俺はそこまで物怖じしない方だし、友達作りはそんな難しくないだろう。
そう暢気に考えて、まだ慣れていない様子のクラスメイトを一通り見渡す。
あいつはなんか元気そうだな。あいつは勉強できそう。あいつは優しそうだな。
前もクラスが同じだった奴には軽く手を振ったりして、ある程度クラスの奴らを見ていると
ふと教室の隅に目が止まった。
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