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アステマはそんな少年の頭を右手で撫でると
(よしよし、いい子だ。僕が君をスターにしてあげるよ!さぁ、君はこのまま駅の繁華街へと向かうんだ。そこで君は、スカウトされるからね。両親の説得は、僕に任せて。君は、より多くの人間に甘い夢を魅せるんだ……)
彼は少年の正面に周り、右手の平を地に翳す。すると手の平に、黒い羽のついた羽ペンが出現する。それを、彼の右手に持たせると
(そして君は、多くのファンを堕落の道へ導くんだよ……。立派な役目、使命だ!やるかい?)
と問いかける。
……俺がスターになったら、女の子にモッテモテだべ! 男は羨ましがるだー! やりてーーーーー!!! 少年は自然にテンションが上がり、ガッツポーズをし、大きく頷いた。
アステマは残忍な笑みを浮かべると
(よし、契約成立だ!! 君がもう使えなくなるまで、芸能界で活躍させてあげるよ)
と言いつつ、左手の平を地に翳す。
するとダークグレーに輝く光が手の平から溢れ、その光が強くなると同時に血のように赤黒い皮手帳が出現。その手帳を開くと、少年の前に差し出した。少年は操られるように右手に持った黒い羽で手帳にサインをした。そしてそのまま操られているかのように繁華街へと向かった。
(ウふふ、このクソガキ、思ったより良い働きしそうだな。さっきのおやじはせいぜい家族と親戚、知り合い巻き込むくらいだけど、この子日本単位の馬鹿女育成してくれそうだ! 使えるうちは、つかってあげるよ)
と満面の笑みを浮かべた。
「君、芸能界に興味無いかい?」
少年が繁華街を歩いていると、黒いスーツに身を包み、黒いサングラスをかけた背の高い男が、少年に話しかけた。
少年の背後にそっと寄り添っていたアステマはニヤリっと笑った。
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