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その日、アマネと過ごした日々を辿る様に、団地に作られた公園まで歩いた。
転校初日に歌を歌っていたこと、二人して色黒をからかわれて一緒に反撃したこと、手を握り返してきた日のこと、細やかな毎日のやり取り…。
そんなことを思い返して公園に着くと、そこには大きな雪だるまが一つ、ぽつんと作られていた。僕はなぜだかそれを見て、アマネが作ったのではないかと思った。
もちろん、誰が作ったかなんか分からない。団地に住む子供たちが作ったと考えるほうが自然だろう。
でも、僕には、アマネが雪の降っていた寒い夜に、一人でここにやってきて作ったのではないか。この街で過ごした日々を思い返して、一人寂しく、「楽しいな」なんて空元気な実況をしながら作っているような、そんな気がした。
いつの間にか僕は泣いていた。どうして行ってあげなかったんだろう。どうしてもっと喋っておかなかったんだろう。どうしてもっと優しく出来なかったんだろう。押し寄せる後悔は後を絶たず、公園にひっそり佇む雪だるまとアマネの姿が重なって、僕は涙が止まらなかった。
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