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会わなくなった間に
白金女学院は千尋を変えてしまった。
短かった髪を腰まで伸ばし、
受験勉強によって落とした視力を
赤い縁のメガネで補っている。
勇気と会っても挨拶一つ交わさない。
二人はもはや他人だった。
勇気は仕方なく家を出て真隣の家へ向かう。
直線距離にしてほんの1メートル。
それでも心理的には遠く感じた。
インターフォンを鳴らすと
ドアの鍵をイジる音が聞こえる。
おばさんが出ると
油断していた勇気は思わず目を見開く。
千尋。
「…何の用?」
「…回覧板だよ。母さんが届けて来いってさ」
「ふぅん」
千尋は怪訝な顔で“お届け物”を受け取り
そのまま扉を閉じようとする。
「待てよ。礼一つナシか?」
「なに?感謝されたいから来たの?」
「別にそうじゃねえけどさ」
「なら、イイじゃない。さよなら」
なおもドアを閉じようとする。
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