Chapter.1

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【02】  夕方、高校から帰る途中 白いものがチラついてきた。 昨日の予報通り、ホントに雪が降ってきたのだ。 「こーいう時ばっか当たるんだよなぁ」 勇気は急ぎ足で帰路を進む。 家の扉を開ける時にも 雪城宅を見ない様、気をつけた。 荷物を廊下に放り、 リビングに入ると母親が洗濯物を畳んでいる。 「母さん、ただいま」 「おかえりなさい。外、雪降ってた?」 「ありゃ積もるかもな」 勇気はソファに寝転がり、テレビを点けた。 暫くケータイをイジっていると 予想通り、外の雪は積もり始めた。 夕飯の準備をしていた母親から “お呼び”が掛かる。 「勇気、ちょっとアンタ雪掻きしてきてよ」 「え、オレが?」 「雪かきしないと明日危ないよ?」 「でも、外寒[さみ]いし」 「夕飯抜きにして欲しいの?」 “ったく、結局それかよ” 勇気は渋々立ち上がり、 制服の上から 分厚いダウンジャケットを羽織る。
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