Chapter.1

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いま手元に火炎放射器があれば どれ程ラクになるか 余計な事を考えていると シャベルが雪の塊に引っかかり その反動を受け、勇気は足を滑らせる。 そして後ろへ倒れ、 頭を地面に思いっきり打った。 眼の前をチカチカと星が舞っている。 「痛[いって]え…」 勇気はだんだんと腹が立ってきた。 人の為にわざわざ動いているのに どうして痛い目に遭わなければならないのか。   もし本当に神が居るのなら 今の自分ほど 祝福するべき人間は居ないはずだ。 八つ当たりは天界にまで及んだ。 見ると 勇気の手にも雪が載っている。 そうなのだ、 全ては雪のせいなのだ。 「クッソぉ!!」 勇気は手元の雪を集め 上に向けて思い切り投げる。 もちろんそれが空に届くわけもなく 途中で放物線を描いた。 徒労感にため息をついていると 不意に「キャッ」という短い悲鳴が聞こえた。 その高い声には覚えがある。 勇気が慌てて仰向けから起き上がると 思わず目を思い切り見開く。 「ち、千尋…!?」 先ほどの雪は千尋の頭に命中した様だ。 街頭の元、 綺麗な黒い髪に雪がこびりついている。 千尋の肩は震えていた。
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