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「…この雪投げたのはアンタ?」
「…ち、違います」
「アンタ以外誰が居るってのよー!!!!」
千尋は振りかぶってコチラへ雪を投げてきた。
かなりのスピードのそれは
勇気の顔面に命中する。
怯む彼に千尋はしゃがみながら
雪玉を更にぶつけてくる。
「ま、待て!アレは事故なんだって!」
「うっさい!絶対許さない!!」
千尋の“爆撃”は数が多い。
勇気は慌てて電信柱の影に隠れる。
死角に入ったにもかかわらず
千尋は何発も雪を投げてくる。
勇気はその場にしゃがみ、
反撃のために足元の雪をかき集めた。
そのまま待っていると
無駄打ちしている千尋の雪玉はすぐに尽きる。
勇気は電信柱の影から飛び出し
闇雲に雪玉を投げた。
それは幸か不幸か
千尋の顔に当たり、赤い眼鏡を飛ばす。
「痛いッ!」
千尋は両手で顔を覆い、
その場にしゃがみ込んだ。
勇気は我に返り、彼女に駆け寄る。
「わ、悪い、手元が狂った。
大丈夫か…?」
千尋は両手に顔を埋めながら首を横に振る。
終始無言のままだ。
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