(1)LALAさんへのバトン

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ザラゾーは、鼻で笑うと大きな大きな欠伸(あくび)をした。 「どうでもいいけど、今俺は死ぬほど退屈なのさ。何か楽しいことしようぜ。」 「楽しいことね・・・。よし!決めたよ、ザラゾー。」 「ん・・!何だよ、何を決めたんだ?」 「島根に行こう!」 「しまね~??何でまた(やぶ)から棒に・・・。」 ザラゾーは、私の勢いにちょっと尻込みしている。 「2年前にLALAさんに手渡したバトンが、今どうなってるのか探す旅に出るのさ。楽しそうだろ?」 「それにしても、島根って東京から遠いだろ。どうやって行くのさ。」 私はまじまじとザラゾーを見ると、猫撫で声を出してみた。 「ザラゾーってさぁ、泳ぎが上手いよね。プロ並みだよねぇ~。」 「あ、ああ。そうともよ。俺は、泳ぎが得意中の得意さ。黒潮なんて物ともしねえさ。・・・て何だかお前の視線が気味悪いなぁ。」 「ねぇ、ザラゾー?。背中に載せて、私を島根に連れてって。」 「・・・さぁてと、今日の暇つぶしは終わりにしてそろそろ家に帰るかな・・・。」 私は、必死にザラゾーの後ろ足を掴《つか》んで引き留めた。 「なあ、ザラゾー。『旅は道連れ、世は情け』って言うじゃないか。」 「『旅は靴擦(くつず)れ』とも言うぞ。また(おか)を歩いて行けよ、歩いて。」 「そう連れないこと言わずに頼むよ。九州周りで行くから、ザラゾーの好きな辛子明太子も食べれるしさ。」 「・・・。マジで・・・明太子。約束だぞ!絶対だぞ!嘘ついたらハリセンボン食わすぞ!!」 どうやらザラゾーもその気になってくれたみたいだな。本来の目的からはずれるけど・・・。 私は旅支度を済ませると、ザラゾーの背中に乗って多摩川を下り京浜港に出た。 後は日本列島を西回りに、いざ島根。 ザラゾーの大好物の明太子を何度もチラつかせながら、東京湾を出発したのだった。 「待ってろよ!ふくやの明太子ぉ~!」 2018.02.25
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