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私達は、やっと白い砂浜に上陸した。
海から上がると重力に囚われて足がもつれ、私はバランスを崩し砂浜に倒れ込んだ。
「はあ、はあ、ザラゾーお疲れ様。この浜で朝まで休もうよ。」
「はあ、はあ、そうだな。俺もずっと泳ぎっぱなしで流石に疲れたが・・腹も減ってる。」
「じゃあ、ちょっと近くにそば屋がないか見に行こう。」
私は膝を着いて立ち上がると、ザラゾーと一緒に海岸沿いの大きな通りに出た。
「なあ、ザラゾー。今、何時くらいかな。」
「う~む、俺様の腹時計によるともう23時を回っている頃だ。」
「商店街も真っ暗でお店はどこも開いていないね。どうやら、そば屋は無理そうだね。」
見渡す限りの店は、全てシャッターが下ろされてた。
空腹と絶望的な気分を抱えて、ザラゾーと二人でトボトボ歩いていると、遠くにたった一つ、希望の光が灯っていた。
「おい、あそこの店、こんな夜中でもやってるみたいだぞ。」
私達は、へろへろの足取りでその一筋の灯りだけを頼りに、一歩一歩近付いていく。
店の姿がはっきりと見えてきた時、ザラゾーはガックリと肩を落とし恨めしそうに言った。
「何で折角出雲まで来て、コンビニ弁当食べにゃならんのよ。」
光輝く看板には、大手コンビニチェーン「ヘブン・イレブン」のマークが描かれていた。
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