天使と高校生

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「普通の人間とは違うようなオーラ?」 「ああ、人をいや、生物を魅了できるオーラだ。お前にはそれを隠し持っている。じゃあな。頑張れよ」  ベルヘルトは、空高く飛び、上界へと戻っていった。  人を魅了できるようなオーラか。よし! 天使にそう言われたし、頑張るか! 何を頑張ればいいかまだわからないが!  あれから約十年後、俺は俳優になった。  高校卒業後、俳優を志し、芝居に道へと足を踏み入れた。  たくさん稽古をつみ、今はドラマ、バライティ番組と引っ張りダコである。  今日はとある番組の収録である。 「勇刀さん、今やテレビで見かけない日はないというくらい人気ですけど、俳優に興味を持ったのはいつですか?」 「そうですね......高校二年生の時、俳優を志したいと思うようになりました」  収録を終え、俺はマスクとグラサンで変装した。こうでもしないとファンに囲まれ、オチオチ歩けないのである。  俺はあの時の公園のベンチに座り込んだ。  夕暮れ時、子供は無邪気に滑り台で遊び、ベンチにはカップルがイチャイチャしている。  俺はあの時よりもはるかに穏やかな気持ちである。  今日は二月十四日、バレンタインデーである。     
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