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影裡大河と影裡朱莉
「気をつけて歩けよ、朱莉」
「分かったよ、お兄ちゃん」
俺の名前は影裡大河(かげうちたいが)。
今日、俺は妹の朱莉(あかり)と一緒にとある民家を目指して歩いている。
俺と朱莉は霊能力者である。
うちの家族は代々伝わる霊感持ちの家系で、俺と朱莉も霊にもれず、霊感を持っている。
俺と朱莉は、霊障に関する仕事で相談者の民家に向かっている。
「それにしても、雑草が多いなぁ」
ジャージというおしゃれの風上にも置けない朱莉が不満を言った。
朱莉のいう通り、あたり一面、木々が生い茂り、ほーほーという梟のような声が聞こえ、草は絶え間なく生え茂っていた。
今は午後6時であり、あたりは薄暗くなっている。
今、俺たちは山の上に向かっているのだが、今にも熊が飛び出してきそうな雰囲気である。
「朱莉、そう文句を言うな。もう少しで到着するから」
「疲れたなぁ。お兄ちゃん。おんぶしてー」
「アホか」
朱莉は今年で17歳になるのだが、俺に甘えっぱなしで、あらゆることを頼んでくる。
それに、服装もジャージとか、恥ずかしくないのだろうか。
顔は悪くないのだから、おしゃれをすれば、幽霊のように化けると思うだが。
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