影裡大河と影裡朱莉

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 カーペットも茶色で一人暮らしの女性のイメージとかけ離れていた。 「お茶をどうぞ」  薫さんはお茶をいわてくれた。 「ありがとうございます。それで、改めて霊障について詳しくお聞きいただいてよろしいですか?」 「分かりました。3ヶ月ほどまえ、この家に越してきて、最初の2ヶ月は何もなかったんですけど、ここ1ヶ月間、男のうめき声が聞こえたり、物が勝手に落ちたり、寝たはずなのに気がつくと立ってたりするんです」 「なるほど、ここに越してきた理由はあるんですか?」 「ええ、転職を期に越してきました。いい物件を探してたらこの物件を見つけて。安かったので契約しちゃったんですけど......」  ふむ、なるほど。 それは事故物件の可能性が高い。  しかし、この女性も随分、無警戒というかなんというか。  普通、物件が安かったら事故物件という線を疑うだろう。 「なるほど、ではもしかしたらこちらの家、事故物件という可能性がありますね」  そう告げると、女性の顔が暗くなった。  まあ、当然か。 「そうなんですか......除霊していただけますか?」 「ええ。霊障が起こるのは主にどこの部屋ですか?」 「寝室です。ご案内します」     
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