影裡大河と影裡朱莉

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 薫さんは寝室までエスコートしてくれた。家の周りを見合わすと、ところどころ傷んでいる。  家の壁には引っ掻き傷? のようなものもある。 「お兄ちゃん......なんかヤバい気を感じるよ」 「そうか、気をつけろよ」  俺は思わず悪寒に襲われた。全身から鳥肌が立ってきた。  俺は除霊の技術には長けているのだが、霊気を察知する力はあまりない。 せいぜい、ちょっと霊感が強い人間と同じくらいだろう。  霊気を察知する力は朱莉のほうが俺よりもはるかに長けている。  しかし、俺ですらヤバいと感じた。 「こちらです」  がちゃりと薫さんが扉を開けた次の瞬間、薫さんは倒れこんだ。 「薫さん!」  体を揺さぶるが、返事はない。  寝室の天井には、黒い物体が目に映った。 「なんだ、あれは......」  黒い物体はものすごいスピードで薫さんの体内に侵入していった。 「な......」  薫さんはパチリと目を冷まし、ガバッと起き上がった。 「か、薫さん、大丈夫ですか?」 「死ね」  薫さんが思いっきり俺を蹴り上げた。数メートルほど飛ばされた。朱莉も一緒に巻き添えを食らってしまった。 「いてて、お兄ちゃん、痛い」 「いてて......何するんだ!」  薫さんは、先ほどまでとは全く雰囲気が異なった。ニヤリと薄気味悪い笑顔を浮かべている。     
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