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Sound of thunder
「ウィル、早く帰って来てね」
幼いキャシーが抱っこをせがみ、ウィルは笑顔で少女をハグした。
キャシーの父親が風力発電装置の異状に気づいたのが5分前。夕食の片付けを手伝っていたウィルはできる限り急いで出かける身仕度をした。
外は折しもハリケーンが近づいていて、危険を感じない訳ではなかったが、これも仕事の一つと割りきって、ウィルはキャシーの父親と風力発電装置の見回りに出かけた。
激しい雨と風。着ている雨具の中に水が入ってきて、結局びしょびしょだった。
ジープで敷地内を走り、風力発電の巨大な風車を一基ずつ点検していく。
「ウィル、気を付けろ!」
叫び声の直後に、風車の羽が折れて落下。ウィルを直撃した。
衝撃に、ウィルは思考停止した。
キャシーの父親が羽をどかして、ウィルの後頭部を見た。
緊急用の道具でウィルの後頭部を開閉して、起動スイッチを操作する。ウィルはアンドロイドなのだ。
ウィルは頭を振り振り身を起こす。
「大丈夫か?」
「はい、マスター」
キャシーの父親が手を伸ばしてウィルを起こそうとしたその時、ウィルの体内にある発電機から高圧電流が漏れて、キャシーの父親を感電させた。
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