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びくびくん、と痙攣する男を見て、ウィルはまずいことが起きていると思った。
自分が再び触れれば彼の命はないかもしれない。助けを呼びにいかなければ。
ウィルはジープの通信機を試してみた。最悪だ。自分から漏れている電流が災いして通信機もおしゃかになってしまう。
どうしよう?
不意にウィルの脳裏に出掛けのキャシーの言葉がよみがえった。
「早く帰って来てね」
そう。帰らなければ。帰ってキャシーに父親の一大事を伝えなければならない。
ウィルはフラフラと家へ向かった。
ウィルの歩いた跡に高圧電流の焼け焦げた土の塊ができるが、激しい雨の水でぐちゃぐちゃにわからなくなっていく。
近くでキャシーの家で飼っている犬の吠える声が聞こえた。ウィルはその犬が苦手だった。いつも予想外のことを仕掛けてくるので、対応に困っていた。
ぐるるるる。
犬が至近距離に近づいていて、ウィルを威嚇した。
「よせ、近づくんじゃない?」
ウィルの発した言葉が逆効果を生んだ。犬が飛びかかってきて、電流にやられて泡を吹いて、どうっと倒れた。
「きゃー」
聞きなれた女の子の甲高い叫び声がした。
「キャシー」
「来ないで!」
キャシーを守って母親が身をていしてかばっている。
「キャシー、お父さんが、感電して大変です」
「あの人が?あの人はどこ?」
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