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アルジェは苦笑する。
「なんだ、もらうことは考えてなかったのか」
「はい……全く」
「なら、お互いに感謝し合おう。シャロン」
「私は感謝される存在なのかしら」
アルジェの抱く力が強くなった。アルジェはシャロンの耳に囁く。
「もし君の存在がどんなものだとしても……感謝する対象じゃないと誰かが言っても」
アルジェは恥ずかしそうに耳に口づける。
「シャロンは俺の大事なものだ。いてくれるだけで、嬉しいんだ」
シャロンはアルジェの言葉に目を瞬かせる。
自分の正体を知ってなお、ここまで言ってくれる人はいるだろうか。
シャロンはアルジェの背中に腕を回した。このあふれんばかりの想いを口にするほかない。
「私もあなたが、大事……大好きです」
二人は互いを求めるように抱き合い続けた。
そんな最中、シャロンは祈りを捧げる。
願わくば、この日々が、どうか長く続きますように。
自分の存在が彼の枷になりませんように。
けして祝福を与えないであろう神に、シャロンは祈った。
窓の外では、また雪が降り始めている。
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