第3章

4/6

259人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
 予定していた3社へのプレゼンを無事終え、良い感触に浸りながら三和商事の本社前に到着した。  タクシーを降りたのは、打ち合わせ時間の10分前、午後3時50分。 10階建てのビルを仰ぎながら、先方のミスでブッキングして急遽予定を入れることになったせいか、心なしか、暗雲がかかったように見える。   「横井さん、まだのようですね……」  白鳥先輩が辺りを見回し、みんなも一緒になってぐるりと見回す。予定時間になっても、横井さんの方はまだ来ていない様子。  その時、主任の携帯に着信が入った。 「もしもし、ああ、横井さん、もうこちらは到着しているが…… うん、うん、そうか、わかった」  嫌な予感がした。  また、何かあったのかと、息を呑む。   「どうやら、渋滞にハマってしまっているらしい……」  最後の最後で、またトラブルか……  「だいたい、何かある場合、こうなるんやなぁ」  森山先輩の言葉に、俺は次第に肩が重くなりかけていた。 「それで、助っ人にお願いしたらしい。もうすぐ着くだろう」 「え! 助っ人? 誰? でもどうやって?」  俺は、つい、たて続けに主任に質問していた。  
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

259人が本棚に入れています
本棚に追加