第3章

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「2係の葉山君が、バイクで持って来てくれるらしい」 「えー! あの葉山が!」  つい、大きな声で驚いてしまった。  あの、嫌味な葉山が助っ人に買って出るわけがないと思っているからだ。    そういえば、葉山は、バイク通勤だと言っていたのを思い出した。飲み会の席で、二輪バイクの免許を自慢げに見せられたのを覚えている。  あのドヤ顔を思い出し、腹立たしさが(くすぶ)りそうになった。 「彼、沢口君の同期でしょ……」 「ええ、まあ……」 「なんか、不服そうやなぁ」 「いえ、別に……そういうわけでは……」  しまった…… つい本音が出そうになった。  葉山を避けていることは、誰にもバレないようにはしているが、正直な気持ちが思わず出てしまったのだ。 「でも、そういえば、あまり、一緒にいるのをみたことないなぁ。もしかして、仲が悪いんとちやう?」  執務室ではあまり絡んでいないので、森山先輩の言葉に内心ドキリとした。その時、バイクのエンジン音が聞こえて来た。    二輪の大型バイクがエンジン音を大きく響かせ颯爽と現れ、俺たちの前で車輪を斜めに滑らせて止まった。  バイクから跨った足をスラリと伸ばし、黒光りするヘルメットを外す男に皆の視線が集まる。   「葉山君!」  白鳥先輩の嬉しそうな声。  一瞬、葉山は、まるで子供の頃憧れたヒーローのように見えた。  
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