第4章

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「ここに、お集まり頂いた4人の皆さんは、今年、特に我が社に貢献した面々です。大きな拍手をお送りください」  名前を呼ばれ、壇上に上がると、大勢の社員から祝福のシャワーを浴びた。    とてもくすぐったいような、でも素直に嬉しかった。    こんなにも自分が注目を浴びるのは幼少期以来のような気がする。  幼稚園までは、子供特有の万能感で自由に自分を表現できていたのが、小学校に上がってから成長していくにつれ、いつの間にか遠慮気味な性格になっていた。  笑いやギャグで目立ってみんなに愛されるキャラがクラスには一人や二人いて、そういうやつが本当は羨ましくはあった。  が、自分はそういうキャラにはなれないと目立つのを嫌った。  そうして、大学も目立つことなく普通に卒業した。  だから、社会人になってこんな晴れ舞台で自分が注目を浴びるなんて思ってもみなかった。    皆から注目され、賞賛を浴びるのは、こんなにも心地いいんだな。    社長から商品を手渡され、拍手を受ける。  感無量だった。    きっかけはわからないが、自分は、人と違って、ずっと不器用な人間だと思い込んでいたのかもしれない。  それは、自分で作った枠に、ただ自分をはめ込んでいただけなんだ……    一人ずつ、挨拶をし、自分は何を喋ったのか、全然覚えていない。  多分、緊張と興奮でのぼせ上がっていたのだろう。  その後、多くの社員の笑顔と拍手の中、主任や森山先輩、白鳥先輩、横井さんの笑顔が出迎えた。    一生懸命、頑張って本当に良かった。    その後、ホテルの2次会場、カクテルバーに移動して……  こんなに楽しい夜は  ない——    
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